寿命について
鉛電池の劣化と寿命
劣化現象について
放電した鉛蓄電池(バッテリー)を放置すると、負極板表面に硬い硫酸鉛の結晶が発生しやすくなり、サルフェーション(白色硫酸鉛化)が起こります。負極板の海綿状鉛はサルフェーションによってすき間が埋まり、表面積が低下します。硫酸鉛は電気を通さず抵抗となる上、こうした硬い結晶は溶解度が低いため、一度析出すると充放電サイクルに戻ることができません。サルフェーションが進行した鉛蓄電池は使用できなくなります。
バッテリー添加剤の機能とは
現在では、機能低下が見られるバッテリーを回復させるための添加剤が市販されています。しかし多くはサルフェーションの発生・抑制を図る予防的なもので、すでに機能が失われたバッテリーを復活させるものではありません。また、バッテリーあがりの応急措置としても効果はありません。他にも「バッテリー強化剤」というものもありますが、これは何の効果も持たないただの蒸留水です。
寿命について
電池容量が定格(公称容量)の80%に低下するまでに可能な充放電回数は400回程度といわれています(シール型電池の場合)。これが電池寿命の目安と考えていいでしょう。ただし、浅い放電の段階で充電すれば寿命は延びます。逆に深すぎる放電から充電すると寿命は大幅に短くなります。この場合、10回未満で使えなくなることがあるのです。
また、放電後に充電せず放置すれば、サルフェーションが起こり著しい寿命の低下が起こります。電池の寿命は使用状況などにより大きな差が出ますが、ユーザーができることは「使用後はすみやかに充電すること」に尽きます。
電池と賢くつきあう
自動車はエンジン始動さえすれば電池の調子を気にする必要はありませんが、電動車は違います。電動車にとっての電池は自動車のエンジンに当たるものなので、電池の調子には特に気を配る必要があるのです。整備の大半は充電操作で、その中でももっとも効率がいいのは「1日走ったら夜充電」というやり方です。数日分をまとめて充電というのはあまりおすすめできません。前述したようにサルフェーションが進行し、電池寿命が縮まってしまいます。